素材・用語辞典

素材(金属)
白金(Pt)
銀白色の金属。展延性に富み、粘り強く絹糸の様に細く伸ばす事が出来る。王水(濃硝酸と濃塩酸の混合液)以外の酸には溶けない。
酸・アルカリ・汗等にも非常に強く温泉等に漬けても変色はせず、耐久性にも富み、比重も高く、金・銀に比べずっしり重い。
金(Au)
ゴールドは人類が最初に発見した金属で、天然の金として塊状で産出、独特の輝きがあり、変色せず永遠の輝きを放つ。殆どの金属が白か灰色に対して、色のある金属は金と銅だけである。又、展延性に富み、1gで3km位まで引き延ばす事が出来、金箔は0.001mmまで薄く出来る。
銀(Ag)
電気および熱伝導率、又、可視光線の反射率は、いずれも金属の中で最大。光の反射率が極めて高い事から、日本ではしろがね(白銀・白い金属)と呼ばれた。
貴金属の中では比較的化学変化しやすく、空気中の硫黄分(排気ガス等)で表面に硫化物ができ黒ずんでくる。銀食器等に使用されている。
銅(Cu)
天然には、黄銅鉱・孔雀石・輝銅鉱・赤銅鉱等として産出。光沢ある赤色の金属で、展延性に富む。
炎色反応は青緑色を呈する。湿った空気中では錆びて緑青を生ずる。
熱、電気の伝導度は銀に次ぐ。青銅、黄銅等の合金に用いられ、電線・ケーブルの材料として、又、銅イオンは殺菌作用を持つ事から抗菌仕様の物に使用される。
ニッケル(Ni)
針ニッケル鉱・ケイニッケル鉱・ヒニッケル鉱等が主鉱石。
鉄より弱いが、強磁性体、耐蝕性が高い為めっきに用いられ、ステンレス鋼や硬貨等の原料としても使用される。
クロム(Cr)
銀白色で光沢ある硬い金属。表面はすぐさま酸化皮膜に覆われ不動態を形成する為、錆びにくく、耐蝕性もあり、めっきとしての用途が大きい。鉄のめっきや合金材料として良く用いられる。
アルミニウム(Al)
アルミニウムは両性金属。酸にもアルカリにも溶解する。
銀白色の軟らかく軽い固体金属。熱すると白光を放って燃える。
加工しやすい上に、軽く、耐蝕性があり人体に無害である為、建築・化学・家庭用品等に幅広く使用される。用途:硬貨・アルミホイル・アルミ缶・アルミサッシ等。
アンチモニー(Sb)
鉛と錫・アンチモンを合金した金属。卑金属の中間の性質を持つ。
常温で光沢のある銀白色の硬くて脆い金属。
約630℃で溶解し、成型温度が低く加工しやすい金属で重量感もある。溶解したものが再び固まる時に体積が増え、鉛を混ぜると強度が増す。
ホワイトゴールド
主に宝飾品として利用され、金を主体とする白い合金である。
18金(K18WG) 金:75%・ニッケル又はパラジウム:25%の合金。鮮明な白色・硬く加工は難しい。
14金(K14WG) 金:58.33%で、残り約41.66%は、ニッケル・パラジウムに、銅・亜鉛の合金。
軟らかく、加工しやすいが、白さが劣り装身具には向かない。
スターリングシルバー
銀:925・銅:75の割合で混ぜられた合金。シルバー925と呼ばれる。
純銀は軟らかすぎて耐久性や強度にかける為、合金の形で、宝飾品、食器等に加工される。
白銅
銅を主体としたニッケル10%〜30%含む合金。
ニッケル量の多いものは銀に似た輝きを放つ為、銀の代用として貨幣等に使用(100円・50円硬貨:白銅)。海水に対する耐蝕性が高く、海水淡水化の設備や船舶関連の部品に多く使用されている。
青銅
銅:60%〜65%・亜鉛:25%〜30%・鉛:5%〜10%・錫:5%〜10%の合金。
青銅は銅が主成分である。錫の含有量によって硬度が変わり、少ないと軟らかく展延性があり、多いと硬度が上がる。
青銅は適度な流動性があり、展延性と鋳物に適した融点の低さが特徴である。
丹銅
銅:95%・亜鉛:5%の合金。着色すると赤味を帯びた独特の色合いになる。
黄銅よりも亜鉛の量が少ない合金であり、展延性・絞り加工・耐蝕性に優れている為、七宝製品・建材・装身具等に用いられる。
赤銅
銅:95%〜97%・金:3%〜5%・銀:1%加えた高価な合金。
象嵌細工等の工芸品に用いられ、発色処理を加えると青紫の色を呈する。
黄銅(真鍮)
銅:60%〜70%・亜鉛:30%〜40%の合金(6.4合金・7.3合金とも呼ばれる)。
展性(圧延によって破壊することなく、板ないし箔に出来る金属の性質)延性に富み、細線板・箔に加工しやすい。侵蝕されにくく耐蝕性も高く、絞り加工・機械・器具等に向く。又、流動性に富み精密な鋳物に向く。
九一銅
銅9に対して亜鉛1の割合の合金。ブロンズ仕上げに使用する。
ステンレス
鉄にクロムを10.5%以上含有させた合金。
クロム含有量を多くし錆びにくい鋼として優れた耐蝕性を有す。
本質は、ステンレス鋼、表面生成している不動態皮膜によって達成される。
ダイキャスト
真鍮・亜鉛・アルミニウム・マグネシウムなどの非鉄金属素材。
ダイキャストは金型鋳造法の一つで、金型に溶融した金属を圧入する事により高い精度の鋳造を短時間に大量生産する鋳造方式の事である。
洋銀(洋白)
銅:62%・ニッケル:14%・亜鉛24%の合金
美麗な銀白色の光沢があり、軟らかな素材。耐蝕性・比重も大きく加工性に富み、自在性があり、細かい装飾に向いている。
洋食器・装飾品などに広く使用される。
ロジウム
銀白色の硬質金属で、銀に次ぐ反射率を持っている。この硫酸塩はロジウムめっきに利用される。
素材(非金属)
綾錦(あやにしき)
綾絹100%の高級綾織物。
板ガラス
家庭用に使われている、青みがかったガラス。
エクスラン
合成繊維の名称。アクリルバンテンと同等品。屋外用印旗に向いている。
葛城(かつらぎ)
綿100%の厚手の綾織物。
9A(きゅうえい)
綿100%の綾織物。葛城より少し薄い生地。
光学ガラス
レンズ等に使われるガラスで透明度、屈折率が非常に高く美しい輝きを放つ。しかも鉛をほとんど含まない人や環境にやざしい素材。
サテン
テトロン系の光沢のある生地。バナーに良く使用。
正絹塩瀬(しょうけんしおぜ)
タテ糸、ヨコ糸とも生糸を使用した重目の羽二重。
スモールタイタック
タイタックの一種で、通常のタイタックより針が短く、止め金具も小型で薄い付属。
石膏
鋳物・肉彫賞牌等製作時に、粘土原型から写し取る為、石膏が使用される。
ツイル
テトロン生地で綾織した物で、光沢があり、日光、雨露にも強い生地。
天竺(てんじく)
木綿生地(綿100%)。20番手以上の太糸を使った平織の綿生地で、実用経済的な屋外用旗幕や伴天、のれん等に使用。
トロピカル
テトロン系の生地。ポンジより厚手の物。
フエルト
羊毛等の獣毛を圧縮して密着させ、布の様に加工した物。
ブロード綿
100%の平織の目の細かいYシャツの様な生地。
別珍(べっちん)
毛を立てた軟かく滑らかな織物。高級ケースや額の内張りに使用される。
本金糸
K22.3の箔を和紙に貼り付け、糸に巻き付けた物。金糸の中で最高級品で半永久的に独特の美しい光沢を保ち続ける(最高級刺繍製品向き)。
ポンジ
テトロン系の薄めの平織生地。捺染加工の数物に向いている。
用語(鍍金)
金鍍金
金の薄層を他の金属の表面に固着させる事。電気鍍金は金板か黒鉛板を陽極とし、 目的の金属製品を陰極として、金シアン化カリウムを主成分とする水液中に直流電流を通じて行う。長期間外気にさらして置くと変色する為、クリア塗装等変色防止する場合がある
銀鍍金
銀の持つ独特の色調は古来より尊ばれ、金と並んで装飾全般に使用。管楽器に施すと、音色が良くなり、水分中の微生物も殺菌され衛生上良いが硫化に弱く、空気中の各種ガスで表面が変色する。変色防止の為、透明樹脂塗装(クリアラッカー等)コーティングする方法もある。
銅鍍金
ニッケル鍍金等の下地鍍金として用いられる。又最終的に銅鍍金仕上げの場合、変色しやすい為、銀鍍金同様クリアラッカー等のコーティングが必要となる。
ニッケル鍍金
主に光沢効果と、鍍金面を硬くする役割として下地鍍金として用いられる。
ロジウム鍍金
常温で変色する事がなく、銀鍍金に次いで銀白色を有し硬度、耐触性、耐磨耗性、均一電着性に優れ、装飾品、美術工芸品等に活用されている。
パラジウム鍍金
弱腐蝕性で変色しにくい。電気接点等に利用される。
クロム鍍金
利用面から2つの性質がある。
1.装飾クロム鍍金: 青白い光沢、変色もなく腐蝕にも強い。アクセサリーに多く利用されている。
2.硬質クロム鍍金: 美観と高い光沢が有り、硬くて耐磨耗性が大きく、工業用鍍金に用いられる。
黒クロム鍍金
漆黒調の皮膜が得られる。耐磨耗性は、普通のクロム鍍金に及ばないが、耐蝕性には優れている。自動車・オートバイ・各部品・弱電部品・通信部品に幅広く利用されている。
用語(一般)
アラシ
金剛砂を吹きつけて梨地紋を付ける仕上げ。
石目地
砂のような紋地。梨地。
イブシ
化学的に黒又は他の色に着色した物。
鋳物(いもの)
金属を溶解し、鋳型に流し込んで作った器物。
インクジェット加工
一般的には、インクジェットプリンターで転写紙に印刷した後、熱によって布に移し替える加工。
印刷エポ
金属に図柄等を印刷した物の上に透明エポキシ樹脂を盛った物。
ウス山
表面が平らでなくレンズのように曲線を描いている物。
エッチングエポ
金属に図柄等を腐蝕させ、色入れをし、めっきした物の上に透明エポキシ樹脂を盛った物。
オフセット印刷
平版を使用する印刷で多色印刷に向く。
カラット
金性品位(KTまたはCR)。宝石はCまたはCt(1Ctは200mg)。
銀イブシ
基台に黄銅材を使用した場合、銀めっきの厚付けをし、硫化カリウムでイブシをかけた仕上げで、銀色に薄い黒味がかった渋い感じに仕上がる。尚、純銀使用の場合には、めっきの必要はない。
金差し
金のサシめっきの事。不要な所をラック等で囲い、めっきを付ける。バッジ、メダル等で文字だけをこの仕上げにする事も多い。
金張り
純金又は金合金(K18、K14など)箔を銅又は銀の台金に貼り合わせた物。
コバ
バッジ、メダル等の側面。
差しめっき
部分めっき、筆めっきとも言う。
サテーナ
仕上げ蛇の目バフ、綿布バフ、フエルトバフがあり、これらにサテーナ(金剛砂)を付けて研磨する事によって出来るヘアーライン状のツヤ消しを言う。
サンドブラスト
金剛砂などをコンプレッサ−から圧縮された圧搾空気で小さなノズルより掘削面に吹き付ける加工。マスキングシートに保護されていない部分が削られる事で、綺麗な模様となって残る。
七宝(しっぽう)
硅石を素として色々の酸化金属を配合する事により、各種の色が焼いて出せるガラス状の物質で、700〜1000℃位の温度で焼いて色を出す種。
写真製版
版下を写真に撮ってフィルムにしたあと、メッシュ布に製版加工する物。
シルク印刷
以前はシルクを、現在はナイロン性繊維のメッシュ版を使用した印刷。
スペクトル
二酸化珪素メッキ後、アルミコーティングを施す。光がプリズムを通過するときに出来る波長の順に色の並んだ虹の様な縞からスペクトルと命名する。
3D加工
光学ガラス内部にレーザー光線を用い、特殊加工で点の集まり(ドット)にて立体物を作り上げていく事。
ソフトめっき
金属の表面が艶消しとなるめっき。ニッケル・金・ロジウムがある。
2D加工
光学ガラス内部にレーザー光線を用い、特殊加工で点の集まり(ドット)にて平面物を作り上げていく事。
手刺繍
本金糸、改良金糸、改良銀糸、絹糸等を使用して、手縫いで表面を縫って止めていく加工方法。中にフエルト等、芯を入れて盛り上げる事が出来る。
転写加工
別の紙に印刷して、熱と圧力で布に写し替える加工方法。
肉彫り
凹凸をはっきり出し、凸の部分等に丸味を付け、立体的に彫る彫刻方法。
抜型
輪郭や透かしの箇所をプレスで抜く為の型。抜き加工プレス又は糸鋸で、金属・アクリル・革の中を切取る加工。
ノセコ
異なる仕上げを必要とする場合、或るいはマーク等を指して凹凸を強く出す場合に貼り付ける。又、ネクタイピンにマーク等を貼り付ける場合もノセコ式と言う。
フィルム製作
版下から感光液焼付けをする為のフィルム(ネガ・ポジ)を作る。
腐蝕プレート
素材に感光膜を塗布し、写真焼付をする。さらに薬品により非感光部分を溶かす(腐らせる)事により凹凸が生ずる。この方法でのプレートを言う。
フロッキー
植毛の事。付着させたい箇所にあらかじめ接着剤を塗布し、着色した繊維の粉末を電磁力による吸引作用を使って付けた物の名称。主として腕章、ペナント、ワッペン等にこの手法が用いられる。
別注(べっちゅう)
特別注文の略で特注とも言う。既製品に対して、注文により新規に製作調整する事を指す。徽章、賞牌、旗、記念品等に多い。
ヘリ(減り)
主として金、銀など貴金属製品の製造の際、製品が完成するまでの各作業工程において、材料の重さが減少していくその減量。金製品や銀製品等貴金属製品を作る際に、考慮することが必要。銀カップの場合は7%、盃の場合は2〜4%のヘリを推定しなければならない。又、特殊な形状の物は、それ以上減る場合がある。
ホーニングあらし
ガラス、鉄等のビーズ状の物をめっき前にエアーで吹き付け、表面に細かいキズを付けてツヤ消しをする事を言う。
本エポ
エポキシ樹脂をベースとした疑似七宝。「七宝」に比べ色調合が出来るので、指定色の物に最適。又、どんな金属にも適用するのも特色。研ぎエポとも言う。
本染
染め板に固定した布地の上に絵柄を彫り込んだ紗張り型を置き、各色毎に染料糊の印捺を繰り返し、乾燥蒸熱して染着させ水洗・乾燥する。板染とも言う。
レジスト
アルミ材をレジストと言う感光剤を使用して凹凸を付ける仕上げ。